任意整理できないケースはあるか?

任意整理できないケースはあるか?

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任意整理できないケースはあるか?

任意整理できる条件

任意整理の利用に関して、法的な義務付けはありません。しかし、任意整理が可能かどうかを判断するための基準がいくつかあります。ここでは、任意整理の可否についての条件を解説します。

返済原資を確保できる

任意整理では、利息や遅延損害金を最小限に抑えて元金を精算するために、返済原資の確保が不可欠です。この返済源は、債務者の収入、親族やその他の支援者からの資金援助、主婦の場合は配偶者からの調達も含まれます。

借金を3~5年以内に完済できる見込みがある

任意整理で問題解決を目指す方は、3~5年の支払期間を想定して下さい。任意整理後の返済分割期間は、3~5年の範囲内に収めます。

指定された時期に効果的に返済を完了させるためには、月々の返済額を収入全体の20~30%に抑え、3~5年以内に借金をなくすことを保証できるような支払い計画を立てることが理想です。

任意整理できないケース

安定した収入がない

安定収入がなく、誰にも金銭的な援助を頼めない場合は、自己破産がベストな選択肢です。一方、任意整理の検討段階で収入がない場合でも、就職先や転職先から内定を受け、安定収入が見込まれる場合は、任意整理ができる可能性があります。

借金の総額が年収を超えている

借金の合計が年収を上回っている場合、任意整理を行おうとしてもうまくいかない可能性があります。借金の合計が年収の2倍以上の場合は、他の債務整理の選択肢(自己破産)を検討するべきです。

生活保護を受給している

一般的に、生活保護を受けている人は、任意整理の対象外です。生活保護は、憲法25条に定められているように「健康で文化的な最低限度の生活」を確保して保障するものなので、生活保護費は借金返済に充てることはできません。

もし、生活保護を放棄してまで借金をしたり、滞納金を補うために隠れて仕事をしたりすると、生活保護費の減額・打ち切りになることもあります。

債権者から合意を得られる見込みがない

任意整理に応じるかどうかは債権者次第なので、債権者が交渉に応じない場合は他の債務整理を検討しなければならないこともあります。借金をした期間が短かったり、貸してもらってから一度も払ったことがない場合、こうした債権者との交渉は難しい可能性が高いです。

奨学金や税金・社保の滞納以外の借金がない

奨学金以外の借金や学費・社会保険料の滞納がない場合、任意整理では解決しません。日本学生支援機構をはじめ、多くの奨学金団体が任意整理に応じません。

その理由は、奨学金の金利がかなり低いこと、奨学金団体が独自の支援プログラムを持っていることが考えられます。税金、国民年金保険料、国民健康保険料の滞納は、任意整理では解決できません。

滞納している税金や社会保険料については、税務署や地方行政の関連部署に連絡し、分割払いや延納を手配することをお勧めします。

既に差し押さえされている

長期間滞納している場合、財産が差し押さえられることがあります。一度差し押さえが行われると、その後任意での合意が成立しても、債権者が差し押さえの解除に応じることはまずありません。

任意整理のデメリットや注意点

ブラックリストに掲載される

任意整理が終了すると、信用情報機関に事故情報が登録されます。そのため、任意整理の返済終了後5年間は、新たなローンの利用やクレジットカードの新規作成が実質できなくなります。また、申込時の審査において、以下のような信用情報の照会手続きができない場合があります。

連帯保証人に迷惑がかかる

保証人と債務の任意契約を締結した場合、債権者が保証人に対し、債務残高を一括で請求する可能性があります。保証人が一括返済できない場合や、債権者と分割返済の合意ができた場合は、保証人自身が主たる債務者と連名で任意整理を検討する必要が出てくるかもしれません。

希望通りの内容で合意できるとは限らない

任意整理に応じるかどうかは、債権者次第です。交渉に応じなければ、任意整理は成立しません。交渉に応じたとしても、債務者が望む条件で合意に至るとは限りません。円満に解決するためには、債権者と債務者の双方が妥協しなければならないこともあります。

任意整理の費用が捻出でるかどうか不安

任意整理の費用相場|1社あたり3〜10万円程度

任意整理にかかる費用は、大きく分けて、実費と弁護士費用です。

実費|数千~1万円程度

実費とは、手続きを進める過程で実際に支出が必要な費用です。具体的には、以下の費用として、債権者1社あたり数千円程度の費用がかかります。

弁護士費用|1社あたり3~10万円程度

任意整理の弁護士費用の相場は、以下のとおりです。法律事務所によっては、減額報酬として経済的利益の10~20%の報酬金がかかることもあります。

☑ 着手金:3~5万円程度
☑ 報酬金:2~4万円程度

法テラスを利用する

収入や資産が一定以下の場合、裁判費用を支払う余裕がない場合は、法テラスの民事法律扶助制度を利用し、裁判費用を立て替えてもらうことができます。法テラスで立て替えたお金は、分割して返済することで負担を軽減することができます。

司法書士に依頼する

1社あたりの元本負債が140万円未満の場合、司法書士に任意整理を依頼することができます。事務所にもよりますが、司法書士の報酬は弁護士の報酬よりも若干低く設定されているので節約にもなります。

費用節約のために自分で任意整理したいけど、できる?

取引履歴の開示の必要性

任意整理の場合、利息制限法上の債務残高を確定させるために債権者と交渉する前に、債権者に対して取引履歴の情報を請求する必要があります。ご自身で手続きをする場合、以下のような塩対応をされることがあります。

☑ 債務残高しか開示されない
☑ 直近取引や途中の取引だけしか開示されない
☑ 完済した取引の履歴開示を拒絶される

債権者の取引履歴をそのまま鵜呑みにして交渉の材料にしたり、部分的な開示を無視したりすると、不利な条件で決着してしまうことがあります。また、粘り強く開示を求めても、債権者が協力してくれず、裁判が長引くこともあります。

引き直し計算が難しい

利息制限法に基づく再計算を行うには、専用の計算ソフトを使用しますが、計算ソフトはインターネットで検索すれば無料でダウンロードすることができます。

ソフトがあれば簡単にできると思いがちですが、すべての取引の借入日、借入金額、返済日、返済額を一つ一つ正確に入力する必要があります。

クレジットカード会社からの取引明細は、毎月の利用額や支払額をまとめたものが大量に送られてくることがあります。そのため、入力に手間がかかったり、誤入力の結果、計算ミスが発生することがあります。

不利な条件を提示されるケースもある

多くの金融機関は、債務者本人からの任意整理の申し出には消極的です。たとえ交渉に応じるとしても、不利な条件を提示されることがあります。返済期間が長すぎる」「月々の返済額が低すぎる」などとして、作成した返済スケジュールの変更を要求されることも少なくありません。

知識や交渉力の違いから、債権者の要求を飲まざるを得なくなり、合意に至ったとしても、最終的に返済スケジュールを守れなくなる可能性があります。

任意整理は、まずは弁護士に相談を

利息や遅延損害金の免除が望める

弁護士に依頼すれば、将来の利息や遅延損害金を減らすことが望めます。弁護士が任意整理の代理人となった場合、東京弁護士三会が定める以下の統一基準を満たすよう、債権者と交渉してくれます。弁護士による粘り強い交渉により、将来の利息だけでなく、清算日までの経過利息も免除される可能性があります。

☑ 全取引の履歴の開示を求める
☑ 利息制限法の利率によって元本充当計算を行い、債権額を確定する
☑ 返済案の提示にあたっては、それまでの遅延損害金や将来の利息を付けない

面倒な手続きを任せられる

任意整理は、以下の手順で進めます。弁護士に依頼すれば、これらの面倒な手続きをすべて任せられます。

① 取引履歴の開示を請求する
② すべての取引を利息制限法の利率で引き直し計算する
③ 実現可能な返済計画を立てる
④ 債権者に返済案を提示して交渉を開始する
⑤ 債権者の合意が得られたら契約書を締結する

過払金の有無も調査してもらえる

銀行によっては、取引履歴を公開する際に、利息制限法に基づく充当計算の表を添付することがありますが、債権者の計算が債務者に不利になるように計算されている場合があります。

弁護士は、借入と返済をそれぞれ別の取引として考えるのではなく、借入総額が増えたとして利息の総額を計算し、返済は借入総額とその利息の返済として計算します。また、過払い金についても、過去の判例に基づく適切な計算方法で再計算してもらえます。

任意整理で解決できない場合も安心

借金の状況や収入、家計の状況によっては、任意整理で解決することが困難な場合もあります。そのような場合でも、弁護士に相談すれば、債務者にとって最適な解決策の提案が可能となります。

弁護士は、個人再生や破産手続きの代理人として、あらゆる書類の収集や作成、裁判所とのやり取りを行えるからです。

まとめ

任意整理は比較的簡単な手続きなので、それほど手間や費用はかかりません。しかし、債権者との交渉には知識や交渉力が必要です。弁護士に依頼すれば、面倒な手続きはすべて弁護士が行い、債権者が二度と来ないように回収手続きを止めることができます。

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