個人間融資
個人間融資とは
個人同士でお金の貸し借りを行うことです。家族、友人、仕事の同僚などに直接会い、返済方法を決めて、場合によっては借用書を書いて借ります。金融機関を通さずにお金の貸し借りをすることを個人間融資といいます。
個人間融資は闇金と同じです。個人間融資は未成年者が狙われているようで、金融庁は以下のページで注意喚起しています。
今では小学生でもスマホを持っている時代です。中高生になるとゲームやお洒落に使うためにお小遣いだけでは足りず、SNSを通じて個人間融資に手を出すケースもあるそうです。
個人間融資は違法か?
個人間のやり取りなので、基本的には違法ではありません。しかし、反復継続して不特定多数に対して個人間融資をすると「業(ごう)」に当たるため問題になります。「業」とは「商売として」という意味です。業としてしなければ、合法ですが、多数の人に貸すと違法です。個人間融資では、年109.5%以上の金利を設定すると違法になります。
SNSでの個人間融資の現状
Twitter、LINE、instagramなどのSNSを通じて、お金の貸し借りが行われています。直接顔を合わせることがないため、気軽にお金が借りられるということでウケているらしいです。親はともかく、友人にお金を貸してとは言いにくいし、借りたくないですよね。SNSで借りられるのであれば簡単に飛びつく気持ちは分からないことはありません。
Twitter検索
「個人間融資」
https://twitter.com/search?q=%E5%80%8B%E4%BA%BA%E9%96%93%E8%9E%8D%E8%B3%87&src=typed_query&f=live
こういった「お金貸します」という甘い言葉を若者は簡単に信じてしまうからこそ金融庁は注意喚起している訳です。そもそも義務教育に金融教育を取り入れていないからこういうことになるので、プログラミングやダンスなんかを必須にしている場合ではないのですが…。
しかし、SNSの個人間融資の利用者は若年層です。そもそも未成年のために消費者金融で借りられなかったり、審査落ちしたりという事情を抱えた若者が利用しています。貸金業者であれば審査や契約手続きがあって煩雑と感じてしまう反面、SNS上のやり取りだけで簡単にお金が借りられるなら、そっちに流れてしまう訳です。
個人間融資の金利は安い?
Twitterでは、以下のように金利が書かれている場合もあれば「要相談」という形で具体的な数字を出していないものもあります。年20%の金利というのは貸金業法の上限金利です。大手消費者金融の金利は18%、中小消費者金融の街金の金利が20%がスタンダードです。「1万円借りて1日20円」「1日0.2%」などという金利もあるみたいですが、365を掛けると年73%という、とんでもない利率になってしまいます。金融知識がないと「あ、安い」と思ってしまうかもしれませんが、そういう若者を狙って貸し出されている訳です。
・金額: 初回上限10万(相談可)
・返済方法: 分割or一括
・金利: 年20%(相談可)
・都内近郊で対面可能な方
生活の悩み、急な出費、ご相談下さい。
個人融資します。
最大10万円
金利20%~30%
給料日などで周期は相談
お問い合わせお待ちしてます
「審査なしで安心」は闇金でしかない
「個人融資」「個人間融資」というのは「サラ金」や「街金」に比べて優しいイメージがあるようですが、言葉の見た目とは逆に、闇金です。「サラ金でお金を借りてはいけません」という大人の言葉から間違ったイメージが派生しているのかもしれません。サラ金は正規の貸金業者なので、個人間融資で借りるよりも安全に決まっています。
個人間融資の返済を踏み倒したらどうなるか?
正規の貸金業者にお金を借りる場合でも、免許証や勤め先情報を提供する必要があるので、個人間融資(=闇金)でも、そういった基本的な個人情報を一通り提出しないと貸してくれません。そして返さなかった場合、まずは自分の携帯に電話がかかってきます。それでも無視したら自宅に来られます。次はバイト先、学校にまで取り立てに来られます。
しかし、民法5条1項には未成年者の法律行為(お金を借りるのも法律行為です)をするには、その法定代理人の同意を得なければならず、2項ではそれに反する法律行為は取り消せると規定されています。つまり、子どもが親の同意なしにお金を借りた場合は、取り消せます。そして、闇金業者が未成年にお金を貸した場合は、不法原因給付に当たるので「返済しろ」と請求できません。
ということは、闇金業者は「未成年者にお金を貸す」「未成年者にお金の返済を請求する」という2つの行為が両方とも違法となる訳です。とはいえ、借りてしまったから返さないといけないという心理を利用して返済を迫るのは闇金業者の常套手段です。こういう民法の条文を知っているだけでも心強いものです。
とはいえ、未成年者だから闇金業者にお金を借りても返さなくてもいいと踏んで借りるのは民法5条2項に反するので、そもそも借りないことです。
民法
(未成年者の法律行為)
第5条
① 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
② 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
③ 第1項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。
(不法原因給付)
第708条
不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない。
女性が個人間融資でお金を借りた場合のトラブル
女性が個人間融資(闇金)にお金を借りた場合、返済ができなければ、裸の画像の送信を要求されたり、肉体関係を迫られたりする場合もあります。こういう画像や肉体関係を撮影した動画などのデータを握られると、脅迫の材料に使われます。そして借金を棒引きにするために、更にエスカレートした要求をされることも考えられます。このような行為は脅迫に当たります。
刑法
(脅迫)
第222条
① 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
② 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。
反復継続して不特定多数に対して個人間融資をすると「業(ごう)」に当たるとは
友人同士で「ゴメン、1,000円貸して?」「いいよー」程度なら問題になりませんが、何度も誰に対してもお金を貸すと、金融業者とみなされます。金融業者は国家資格や登録が必要なため、無登録での営業は違法となります。無登録で貸金業を営んだ場合の刑事責任は重く、その法定刑は、10年以下の懲役もしくは3000万円以下の罰金(またはその併科)です。
個人間融資でお金を借りてトラブルになった場合
警察は民事不介入のため、事件が起こってからでないと動いてくれません。なので弁護士に相談するのが一番です。以下の日本弁護士連合会のページに、無料で相談できる全国の法律相談センターが掲載されています。相談時間は30分ですが、無料なので利用しても損はありません。