自己破産の保証人への影響【保証人に迷惑がかかります】

自己破産の保証人への影響【保証人に迷惑がかかります】

目次

保証人・連帯保証人の責任

カードローンや消費者金融で、保証人や連帯保証人を必要とするものは少ないです。一方、住宅ローンや自動車ローン、奨学金などの場合は、保証人や連帯保証人が付けられています。

保証人とは、主債務者が債務を履行しない場合に、主債務者に代わって履行すべき責任(保証債務)を負う者のことです(民法第446条)。

保証人は、債権者が請求しても、主たる債務者に先に請求するよう請求することができ(これを「検索の抗弁」といい、連帯保証人には認められていません)、保証人が複数人いる場合は各自その頭割りの金額だけ支払えばよいものとされています。

民法 第446条【保証人の責任等】
① 保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
② 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。
③ 保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。

連帯保証人は本人と連帯して責任を負わなければなりません。そのため、債権者は本人よりも先に連帯保証人に請求することができ、連帯保証人が2人以上いる場合でも、連帯保証人ごとに債務の全額を請求できるものとされています(民法第436条)。

個人の借入れの場合、住宅ローンを除いてはあまり例がありませんが、共同債務者がいる場合があります。つまり連帯債務者は保証人ではなく債務者そのものといえます。

民法 第436条【連帯債務者に対する履行の請求】
債務の目的がその性質上可分である場合において、法令の規定又は当事者の意思表示によって数人が連帯して債務を負担するときは、債権者は、その連帯債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次に全ての連帯債務者に対し、全部又は一部の履行を請求することができる。

自己破産した場合の連帯保証人等に対する影響

自己破産をして免責が許可されると、その破産した人の借金・債務の支払い義務が免除されます。しかし、免責されるのは、あくまで破産した人だけです。

保証人や連帯保証人の保証債務は免責されません。したがって、自己破産をすると、債権者は、保証人や連帯保証人に対し、破産者に代わって保証債務を支払うよう請求し、保証人や連帯保証人は、これを支払わなければならなくなります。

しかも、通常は約定において、主たる債務者が滞納したり破産したりした場合は期限の利益が失われる旨の条項が定められています。

自己破産して免責許可されると、破産者は債務や負債の支払い義務から解放されます。ただし、免責されるのは破産者本人だけです。

保証人および連帯保証人の保証債務は免除されません。また、契約書には通常、主債務者が債務を履行しない場合や破産した場合に期限の利益を喪失する旨の条項が含まれています(民法第137条)。

民法 第137条【期限の利益の喪失】
次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。
1 債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。
2 債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき。
3 債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき。

期限の利益が失われるというのは、借金を一括で返済しなければならなくなることを意味します。自己破産した場合、債権者は保証人に一括で支払うよう要求することができます。

実際に一括払いを要求するか、分割払いを要求するかは債権者次第ですが、少なくとも債権者に一括払いを要求する権利は法律上発生します。

連帯保証人等に迷惑をかけない方法の選択

自己破産すると、保証人や連帯保証人に対する請求が発生します。破産手続きでは、特定の債権者だけが破産を免れるということはありません。

したがって自己破産した以上、保証人や連帯保証人は請求されることになります。どうしても保証人や連帯保証人を困らせたくない場合は、自己破産以外の債務整理を選択する必要があります。

任意整理を選択すること

保証人や連帯保証人に迷惑をかけずに債務を整理する方法として任意整理があります。任意整理を選択し、保証人や連帯保証人などの債権者だけを除外して、それ以外の債務を整理します。

ただし、任意整理は返済が必要な手続きです。そのため、返済に十分な収入がない場合は、任意整理が困難な場合があります。

個人再生を選択すること

個人再生は自己破産とは異なる債務整理の方法ですが、個人再生でも一部の債権者だけを排除することができません。したがって、個人再生も、周りに迷惑をかけるという点では自己破産と何ら変わりはありません。

ただし、住宅ローンの保証人・連帯保証人になっている場合は、住宅資金特別条項(住宅ローン特約)を利用することで、迷惑をかけるのを回避できる可能性があります。

住宅資金特別条項がある場合、個人再生中は住宅ローンだけが控除等を免除され、支払いは従来通り(または条件を少し変更して)続けることができます。

したがって、債務者が住宅ローンの支払いを続けている限り、保証人や連帯保証人に請求されることはなく迷惑がかかることはありません。ただし、個人再生は、自己破産よりも利用要件が厳しいため、利用できない場合もあります。

連帯保証人等自身の債務整理

破産すると保証人や連帯保証人に支払い請求がされます。保証人または連帯保証人が債務不履行に陥った場合、保証人または連帯保証人が破産などの債務整理を行う可能性もあります。

なお、主債権者と保証人・連帯保証人が同時に自己破産を申立てた場合、これらのケースは通常一緒に扱われます。

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