自己破産とは【債務整理の中でもよく使われる手法】

自己破産とは【債務整理の中でもよく使われる手法】

目次

自己破産とは

自己破産とは、債務者が一定の財産の引き渡しと引き換えに、未払いとなっている債務や義務の支払い義務を免れる法的手続きのことをいいます。

法的には、破産法に基づく破産手続きと免責手続きとなります。破産手続きの開始(およびそれに伴う免責)は、債権者だけでなく、債務者自身によっても申請することが可能です。債務者自身が裁判所に破産手続きの開始を申請することを「自己破産」といいます。

自己破産を申請し、裁判所から免責を得ることで、債務者は借金の支払い義務から解放されます。そのため、債務整理の中でもよく使われる手法の一つです。

自己破産と借金返済義務

自己破産をすると、借金の支払い義務から解放されると認識されていますが、これは必ずしも間違いではありませんが、実は少し違います。破産手続きは破産者の財産を清算し、債権者に分配する手続きです。

ただし、破産者の資産が債務より少ない場合、分配しても支払えない部分が発生します。破産手続きでは、この未払い部分については特に触れていません。破産者の資産が免除されたとしても、破産者の借金や支払不能な債務の支払い義務は、破産手続きとは別に、免責が認められるかどうか、つまり債務者の借金支払い義務を免除できるかどうかを判断するための免責手続きが行われるのです。

つまり、破産手続きで財産が処分された後でも、支払えない借金は、免責手続きで免責決定がなされないと免責されないのです。

通常、免責手続きと倒産手続きは並行して行われます。その後、破産・免責手続きにより、破産者の財産を差押さえて債権者に分配し、未払い分は支払い義務が免除されます。債務者が自ら自己破産を申請し、組成物を提出することを総称して「破産者」といいます。

自己破産のメリット

クレジット会社やカードローン等の債務を整理する方法を、一般に「債務整理」と呼んでいる。自己破産は、債務を整理する最も有効な方法の一つです。実際、多くの方がこの手続きを利用して自己破産で借金を解決しています。

全国の倒産件数は毎年約7万~9万件(2001年は約7万8500件、2020年は約7万7500件)なので、多くの人がこの方法を利用しているといってよいでしょう。自己破産の最大のメリットは借金返済が免除されることです。

裁判所が免責を許可した場合、債務者は債務の支払い義務から解放されます。さらに、破産手続が開始されると、債権者からの取立てが禁止されるだけでなく、債権者に対して法的措置や強制執行をすることも禁止されます。

債権者の請求が棄却され免責が認められると、借金を支払う必要がなくなるため、債権回収を恐れる必要がなくなり、計画的に生活を立て直し、平穏な生活を取り戻せます。したがって、自己破産は最も効果的で効率的な債務整理の方法といえます。

自己破産のデメリット

自己破産には、借金の支払義務を免除してもらえるという非常に強力な効果があります。しかし、効果が強力である反面、一定のデメリットも存在します。具体的には、以下のようなデメリットがあります。

自己破産は借金の支払い義務を免除するという強力な効果がありる一方、以下のようなデメリットもあり、諸刃の剣ともいえます。

・一定の財産を処分する必要がある。
・破産手続中、一定の資格を利用できなくなる。
・破産手続中、郵便物が破産管財人に転送される。
・破産手続中、引越しや旅行に行く場合に裁判所の許可が必要になる。
・自己破産をしたことが官報に掲載される。

ブラックリストに載るため、10年程度は新規の借入やローンを組むことが非常に難しくなります。自己破産を選択するかどうかを検討する際には、これらのデメリットを考慮する必要があります。

自己破産に対する誤解

自己破産にはいくつかのデメリットがあります。しかし、自己破産のデメリットについては、しばしば誤った情報や誤解があります。誤解の多い情報は、以下の通りです。

・全ての財産が処分される訳ではありません。生活に最低限必要な財産(自由財産)は処分しなくてもいいです。
・資格制約は破産手続きの期間中だけです。免責が許可されると制限が解除されます。権利は生涯に渡って制限されるものではありません。
・選挙権は制限されません。
・居住および郵便物の転送に関する制限は、破産手続きの期間中のみ適用されます。破産手続きの終了すれば解除されます。
・戸籍や住民票には破産したことは掲載されません。
・破産を理由に解雇されることはありません。
・破産を理由に賃貸住宅を追い出されることはありません。
・免責不許可事由があっても、裁判所の裁量によって免責が許可されることはあります。

自己破産と他の債務整理手続の比較

自己破産をすると、借金の支払い義務から解放されます。そのため、債務整理の方法の一つとして利用されることが多いです。債務整理には、自己破産以外にも、任意整理や個人再生といった方法があります。どちらを選択するかは、個々の状況に応じて検討する必要があります。

自己破産と任意整理

任意整理とは、弁護士が債務者に代わって債権者と交渉し、支払い条件を変更することで債務者の生活を再建する手続きです。任意整理は裁判によらない交渉のため、ある程度柔軟に対応することができます。

また、自己破産のような財産処分、資格制限、居住制限、免責不許可事由などの制限もありません。しかし、裁判外の交渉であるため、この契約は強制力を持ちません。

そのため大幅な減額や延長は困難です。一方、自己破産の場合は、確かにいろいろな制限やデメリットがあります。とはいえ、すべての借金が免除されるのは大きなメリットです。生活を立て直すためには、冷静な判断で自己破産を選択することも必要でしょう。

自己破産と個人再生

個人再生は、民事再生法に基づいて再生計画を作成し、裁判所の認可を受ける手続きです。個人再生では、自己破産と異なり、財産の処分や能力に関する制限はありませんが、すべての債務が免除されるわけではありません。

また要件も限定的です。個人再生も便利ですが、自己破産と同じく官報に掲載され、手続きは自己破産より複雑です。

したがって、基本的には、自己破産ができない理由、例えば、住宅ローンを組んだ家を残したい場合、処分できない不動産がある場合、資格制限で働けない場合、免責不許可になる可能性がある場合などは個人再生を選択し、それ以外は自己破産を選択すればよいということになります。

同時廃止手続と管財手続

倒産手続きは原則「管財手続」であり、破産管財人が裁判所から任命され、破産者の財産を調査、管理、換価処分し、その結果得られた金銭を債権者に支払ったり分配したりするものです。

しかし、破産手続きの開始時点で、破産手続きの費用(特に破産管財人の費用)を支払う資産がないことが明らかな場合、あるいは免責不許可事由がない場合もあります。

この場合、破産管財人を選任しても意味はありません。そこで例外的な手続きとして、破産管財人が選任されず、破産手続の開始とともに破産手続が廃止する「同時廃止手続」があります。

同時廃止手続きでは、破産管財人は選任されないため、当然ながら破産管財人による調査等は行われません。そのため、破産手続よりも同時廃止の方が、破産手続の期間が短く、費用も安くなります(東京地裁・立川支部では、管財人付破産の場合でも、個人破産の場合は管財人に譲渡する少額の前払い金が一般的です)。

自己破産手続の基本的な流れ

破産・免責手続を開始するには、破産・免責手続申請書を管轄の地方裁判所に提出することにより、破産・免責手続を申請する必要があります。

申請を受けた裁判所は、その内容を審査し、要件を満たすと判断した場合には、破産手続きの開始を決定します。この段階で、管財手続きの可否も決定されます。

東京地裁では、申立時に債務者の代理人である弁護士と相談し、裁判官が「即日面接」を行います。同時に終了させるべきと判断された場合、破産手続が開始されると同時に破産手続は終了し、債務者をどのように免責するかという判断だけが残されることになります。

逆に、破産手続きを清算人が行うことが決定された場合、破産手続き開始決定と同時に破産管財人が選任され、資産の調査・換価処分、債権調査、免責調査、その他の清算手続きが行われることになります。

破産手続きが開始されると、債務超過当事者は破産管財人の調査に協力する義務を負います。その一環として、開始後に破産管財人との面談が行われるのが一般的です。

東京地裁の場合、申立から破産手続開始までの間に、破産管財人予定者との面談を行う必要があります。同時廃止の場合、破産手続き開始または終了から約2~3ヶ月後に裁判所で免責審尋が行われ、破産者も出頭しなければなりません。

破産手続きの場合、破産手続き開始から約3~4ヶ月後に裁判所で債権者集会が開催されます。この場合も、破産者は出頭しなければなりません。

破産管財人の作業が終了した場合、最初の債権者集会で破産手続きは終了するか、配当の場合は配当手続きだけが残り、その後に免責審問が行われます。

債権者集会で倒産処理が完了しない場合は、債権者集会の後に、第2回、第3回と続きます。免責審理の後、裁判所は免責を許可する(または許可しない)決定を下します。

裁判所によっては、審理の当日に免責の判断がなされることもあります。東京地裁では、通常、審理から1週間程度で決定されます。

自己破産できる場合・できない場合

自己破産は破産法に基づく法的手続きでもあるため、法的要件を満たさない限り利用することはできず、支払い不能でない場合、破産申立は裁判所に却下されます。

したがって、借金を全額返済できるだけの資産がある場合や、生活費などを除いた支払いに十分な収入がある場合は、支払不能とはみなされず、破産を申し立てることはできません。

ただし、自己破産は最後の手段です。したがって、本当に借金の返済に困っているのであれば、自己破産が認められます。ただし、破産申立が承認されたとしても、裁判所が免責を認めなければ意味がありません。

原則として、免責不許可事由と呼ばれる、免責を受けられない一定の事由がないことが、免責を受けるための条件とされています。免責不許可事由は、破産法第252条第1項各号に規定されており、一般的な理由は以下の通りです。

・財産を隠匿したこと
・財産を無償または不当に安い金額で譲渡したこと
・闇金などから高利で借金をしたこと
・クレジットで購入した物品を不当に安い金額で換金したこと
・一部の債権者にだけ返済をしたこと
・浪費やギャンブルによって借金を増やしてしまったこと
・過去7年の間に免責許可を受けたことがあること

これらの事由がある場合、原則として免責不許可事由になります。しかし、免責不許可事由がある場合でも、真摯な反省や破産手続きへの協力などの事情により、裁判所の判断で免責が認められることも少なくありません。

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