自己破産の家族への影響【家族に迷惑をかけたくない】
自己破産による家族や同居人への影響
自己破産をした場合、裁判所から免責許可を得ることで借金の支払い義務から解放されます。
しかし、借金の支払いが免除されると、日常生活に必要最低限の資産以外は処分しなければならない、破産手続き中は特定の資格が使えない、住居が制限される、ブラックリストに載る、新たに借金をすることができなくなるなどのデメリットがありますが、あくまでも破産者のみです。
これらのデメリットは、破産者の家族および破産者と同居している人には適用されません。とはいえ、破産者と同居している家族や関係者に何ら影響がないわけではなく、間接的な影響はあると思われます。
債務は家族等に承継される?
裁判所が免責を許可すると、破産者は債務や負債(税金、国民年金保険料、国民健康保険料などを除く)の支払い義務から解放されることになります。
これらの債務は、破産者の家族や同居人に継承されることはありません。ただし、家族や同居人が破産者の借金の保証人、連帯保証人、連帯債務者になっている場合は、保証人等として破産者に代わって借金を返済する必要があります。
消費者金融や信販会社のキャッシングでは保証人等はできにくいですが、住宅ローンや奨学金では保証人等が設定されていることがあります。
家族や同居人の財産・資産も処分される?
破産した場合、生活に最低限必要な一部の財産を除き、財産を処分しなければなりません。もっとも、処分されるのは破産者名義の資産のみです。
家族または破産者と同居している人の財産は処分されません。ただし、支払停止後に破産者名義の財産が家族や同居人に譲渡された場合は、破産管財人は取消権を行使して取り戻すことができます。
家族や同棲相手の財産が破産財団の債務や義務の担保として差し入れられた場合、その財産に対する担保権が行使され、財産は競売などの処分を受けることになります。
家族や同居人もブラックリストに登録される?
自己破産をすると、信用情報に事故情報として登録されます(いわゆるブラックリスト)。事故データベースに登録されると、免責許可の決定から約5年間はブラックリストに登録されます。
この期間中は、新規の借入、ローン、クレジットカードの利用、保証人になることは実質できなくなります。ただし、ブラックリストに載るのは破産者のみです。なお、家族および同居者の信用情報には影響しません。
クレジットの家族カードは使えなくなる?
自己破産によって使えなくなるのは破産者名義のクレジットカードです。なお、破産者の家族や同居者もクレジットカードから除外されるわけではありません。
しかし、いわゆる家族カードでは、たとえ家族が使っていても、カードはあくまで債務超過者本人の名義になります。したがって、破産した場合、破産者名義のクレジットカードだけでなく、このカードの家族カードも使えなくなります。
家族や同居人の仕事や就職に影響がある?
自己破産を申立た場合、手続き中は一定の資格が制限されます。例えば、警備員、保険外交員、宅建資格などです。ただし、破産者の資格のみが制限されます。
破産者の家族および同居者の資格に制限はありません。また、前述のとおり、家族や同居人が信用情報に記録されることはなく、戸籍などに自己破産の情報が記載されることはありません。
したがって、破産しても、家族や同居人の就職や仕事には影響しません。
家族や同居人の進学に影響がある?
破産しても戸籍に記載されないので、家族や同居人の教育には影響しません。ただし、進学自体に影響がなくても、家族や同居人が奨学金を受ける場合は、破産者が連帯保証人になることはできません。
既に連帯保証人になっている場合は、連帯保証人の義務も破産の影響を受けるため、保証人を変更する必要がある場合があります。
家族や同居人も破産手続の審問に出頭しなければならない?
破産の申立をすると、破産管財人との面談、債権者集会、免責審尋などの裁判所の審問に出頭しなければなりません。
ただし、清算人のみが出席する必要があります。家族および破産者と同居している人は、破産手続きに参加する義務はありません。
家族や同居人の財産も破産手続で調査される?
破産手続きでは、破産者の資産が調査されます。家族及び同居者は原則として調査されませんが、破産者の収入・支出及び財産に関係する範囲で調査されることがあります。
例えば、自己破産の申立をする際には、通常、破産者と同居する家族の収入を証明する書類(給与明細、源泉徴収票など)や、破産者と同居する家族の収入・支出を含む世帯の収支を提出する必要があります。
破産者の資産が家族または同居人に譲渡された場合、破産管財人による否認権行使のために、譲渡された家族または同居人の資産も調査されることがあります。
家族や同居人に知られずに自己破産できる?
破産したことは、原則としてご家族や同居人に通知されることはありません。ただし、自己破産をすると、官報に氏名と住所が掲載されますので、万が一家族や同居人に見られたらバレます。
家族や同居人からお金を借りている場合、その人も債権者となり、裁判所から債権者宛ての通知が届くため、バレてしまいます。
その他、支払いを停止した後に家族や同居人に財産を譲渡した場合、破産管財人はその家族や同居人に対して取消権を行使して財産の返還を求め、その結果、家族や同居人に自己破産を知られることになります。
いずれにせよ、上記のとおり、自己破産の申立をする際には、申立人は、家族やその他の同居人の収入に関する証拠(給与明細書や源泉徴収票など)、および、世帯の収入や支出に関する証拠を提出する必要があることもあります。